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『水を抱く女』レビュー:論理的に構築された水の城壁

ロジカルで冷たいラブストーリー

© SCHRAMM FILM/LES FILMS DU LOSANGE/ZDF/ARTE/ARTE France Cinéma 2020

勝手にシリーズ化しようと目論んでいるナマニクの欧州映画レビュー。イタリア(ワン・モア・ライフ}、フランス(クイーンズ・オブ・フィールド)、アイルランド(サンドラの小さな家)に続く4弾。『水を抱く女』はドイツのベルリンを舞台に展開する、精緻で冷たいラブストーリーだ。

ベルリンの歴史博物館で働くウンディーネは突然、恋人のヨハネスから別れ話をもちかけられる。ショックを受けた彼女は「私を捨てるなら殺してやる。」と告げる。それでもヨハネスは彼女の元を離れていってしまう。悲嘆にくれるウンディーネだったが、彼女の目の前にひょっこり現れた潜水士クリストフと恋に落ち、2人は深く愛し合うようになる。

ウンディーネの職業は博物館で展示物の解説をするフリーのガイドである。彼女が務める博物館にはベルリン市街のジオラマが年代別に展示されており、そのジオラマを示しながらベルリンの歴史を観客にレクチャーするのだ。ベルリンがいかに合理的な街であったか。そして美しい街並みであったのか。彼女の軽やかな口調は、興味深く映画であることをも忘れて聞き入ってしまう。彼女は史実を研究し、根拠に基づいた事実を正確に説明しているだけなのだが。ここから『水を抱く女』がいかにロジカルに作られているかが読み取れる。

たとえば、ヨハネスと別れ話をするカフェには熱帯魚の水槽があり、その中には潜水士のオブジェが沈んでいる。これは後に潜水夫クリストフと出会うことを示している。さらにこのオブジェをクリストフがウンディーネにプレゼントするのだが、その片足は折れている。これも予言的な表現。後にクリストフが、怪我をすることを仄かしているのだ。基本的に映画は記号の集合だ。あらゆる人物のセリフ、置かれた小道具には意味があるのだ。本作は徹底的に記号化を行い、緻密に物語を紡いでいく。当然、冒頭シーンでウンディーネがヨハネスに伝えた言葉「私を捨てたら殺してやる」は脅しではない。彼女は名前の通り「ウンディーネ」。捨てた男を殺めなければならない運命なのだ。本作の原題は「UNDINE」(ウンディーネ)。主人公の名前であり、水の精霊の意味を持つのだ、

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氏家 譲寿(ナマニク)

文筆家。映画評論家。ホラー映画評論ZINE「Filthy」発行人。ホラーブログ「ナマニクさ...

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