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【新作レビュー】『藁にもすがる獣たち』〜獣たちの”しくじり”自爆映画〜

愚直で頑固、卑屈でワガママ

ジュンマンは親から受け継いだ海辺の刺身屋を潰してしまい、サウナでアルバイトをしている。彼は真面目に働いているつもりだが、上司のウケは悪い。散々こき使われて家に帰れば認知症の母親が待っている。さらに悪いことに、母は介護してくれる嫁を敵視し、何かと争いが絶えない。娘はソウルで大学に通っているが、学費が払えなくなり近々休学の危機にある。
ジュンマンは必死で働いているが生活は追いつかない。海辺に立つ食堂を捨てて公助に頼り、娘には自活してもらう手もあるだろう。だが、彼の頭には父親の残した店をなんとか復活させたい、という夢のような希望を抱いている。要するに経営者としてのプライドを捨てきれず、人に雇われるのが不本意なのだ。そうした態度は勤怠にも現れ、遅刻も多い。年下の上司には「今月二回遅刻をしたから次はクビだ」と言われる。そこで彼は家の事情を述べて言い訳をし、ごまかそうとする。しかし、「誰にでも事情はある」と一喝されておしまいだ。そうでなくても自分より目上か目下かで態度がガラリとかわる、卑屈な性格だ。愚直で頑固、卑屈で我儘、どうしようもない奴なのだ。よくある”不味い飯を出す、不人気ラーメン屋のダメ店長”の典型である。
そんな彼にある転機が訪れる。サウナのロッカーに置き捨てられたバッグに入った大金だ。そしてジュンマンの表情は一変する。ジュンマン役のペ・ソンウは空間をギュッとつかんで広げるような演技で、二転三転する運命に翻弄される中年男を演じ、物語の中核を担っている。

【光源vol.2】Podcastプロデューサー白井太郎、イラストレーター水元さきのにクリエイターの本質を聞く
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氏家 譲寿(ナマニク)

文筆家。映画評論家。日本未公開映画墓掘人。ホラー映画評論ZINE「Filthy」発行人。ホ...

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