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本日お誕生日エド・ヘルムズ
『日本沈没』DVD(販売元 :東宝 )
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小笠原諸島で発生した地殻変動を調査するため、深海調査艇「わだつみ」号で日本海溝に潜った地球物理学者の田所博士(小林桂樹)らは、海底で大規模な乱泥流を目撃する。日本に大規模な地殻変動が発生すると直感した田所は山本首相(丹波哲郎)らに警告する。
田所の説に興味を持った政財界の黒幕・渡老人(島田正吾)は、田所を中心にして極秘裏に調査研究「D計画」を行なうよう山本に指示する。日本各地で異変が起こる中、調査を続ける田所たち。やがて、集まったデータから田所は「最悪の場合、日本列島の大部分が海面下に沈んでしまう」という結論を導き出す。その言葉を裏付けるかのように東京を大地震が襲い、壊滅状態に追い込んでしまう。
田所の説の信ぴょう性を確信した山本は日本人を一人でも多く救うべく決意し、日本人の国外脱出のための「D2計画」を発動させる。山本や田所らが懸命の努力を続ける一方で、日本列島は各地で徐々に水没していく…。
空前のベストセラーとなった小松左京の小説を出版後すぐに映画化した作品。当時は高度経済成長の歪みとして公害が社会問題化していたことに加え、ちょうどこの年はオイルショックなどが発生するなど、日本人全体が不安を抱いて生活しているような時代だった。そのため、原作同様映画も大ヒットした。パニック・スペクタクルとしての要素も強いが、原作同様、「日本人が祖国を失ったらどうなるか」というシミュレーション映画であり、さらには日本人論なども含めた、深い内容の作品となっている。監督の森谷司郎ら黒澤明にゆかりのスタッフが揃っていることからもそれが窺えるが、中でも日本映画界を代表する名シナリオライター・橋本忍の脚本は、原作の“骨”を壊すことなく大長編を巧みにダイジェスト化するという得意技の成果。特に、原作よりも遥かに首相の比重を大きくしたことで、為政者の危機管理マニュアルとしての意味合いまで持たせている。最初は田所の説に懐疑的だった山本が、東京大地震の惨状を目の当たりにして「国(民)を守る」ことの意味を自問自答する。皇居に押し寄せた避難民を見た彼が即座に宮内庁に開門と避難者の受け入れを命令するシーンは鳥肌が立つ名場面だ。緊急事態に対して迅速、大胆、的確な判断で少しでも多くの人命を救おうとする山本は、まさに「理想の総理大臣像」だ。
『大地震』DVD(販売元 :ジェネオン・ユニバーサル)
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ロサンゼルスにある建築会社の副社長スチュアート(チャールトン・ヘストン)と妻レミー(エヴァ・ガードナー)の間は冷え切っていた。レミーの父は夫の会社の社長サム(ローン・グリーン)で、建築技師だったスチュアートが出世できたのは自分とサムのおかげだと思い込んでいるレミーが、スチュアートを軽んじているからだった。そのせいもあって、彼は事故死した同僚の未亡人デニス(ジュヌビエーブ・ビュジョルド)とその幼い息子の面倒を見ていた。それがレミーの嫉妬を買い、二人の仲はますます険悪になっていた。
ある朝、震度3の地震が発生した。カルフォルニア地震研究所の科学者たちは、データを詳細に調べた結果、カリフォルニアを48時間以内に巨大地震が襲う可能性が非常に高いという結論に達した。ストックル博士(バリー・サリヴァン)はロス市長(ジョン・ランドルフ)に連絡するが、市民がパニックを起こす恐れがあるため公表は保留されてしまう。
しかし、予想通りマグニチュード8以上の最大級の地震がロサンゼルスを襲った。スチュアート夫妻、デニス母子、警官ルー(ジョージ・ケネディ)ら、さまざまなロスの人々がそれぞれを襲った危機から生き残ろうと決死の戦いを繰り広げるが…。
パニック映画が世界的なブームになった頃の作品だが、当時は意外にもほとんど作られなかった「地震をメインの題材にしたハリウッド製パニック映画」の代表格だ。
主人公たちの三角関係がいささかウザいが(それでも意外な結末への巧妙な持って行き方は上手い)、地震のスペクタクル描写はハリウッドの底力を見せつける。ビル街の崩落、ダムの決壊、洪水…と、絶妙の緩急で見せ場を用意しているのもさすが。
一方で、せっかく地震を予知しておきながら、「無用のパニックを防ぐ」という政治的判断で公表を控えるという展開は妙にリアリティがある。『タワーリング―』などの「利益追求型」とは違うが、この理屈による公表の先送りが被害を拡大させてしまうという展開は、自然災害系パニック映画の定番となった。
ヘストンとケネディは、同じ年に製作されたシリーズ第2作『エアポート’75』(1974)に続いての出演。レミー役は最初オードリー・ヘップバーンにオファーが言ったが断わられた。
この映画は、ユニバーサルがMCAと共同開発した特殊音響効果「センサラウンド」の第1作としても有名だ。これは、普通の立体音響と別に専用スピーカーから低周波の音波を再生して観客に振動を体感させるというもの。まさにこの映画にピッタリの効果だが、100㎏の専用スピーカーが16個必要で映画館に大きな負担をかける上、近所から苦情が相次いだこともあって、本作の後に3本製作されただけで姿を消してしまった。
『地震列島』DVD(販売元 :東宝 )
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地震学者の川津陽一(勝野洋)は、各地の調査結果や観測データの異状から、東京を関東大震災級クラスの大地震が襲う可能性が高いと判断し、地震予知会で報告する。しかし、会長の丸茂(大滝秀治)らメンバーは政府への働きかけに消極的だ。業を煮やした川津は、「30日以内に東京に地震が来る」と暴言まがいの発言をして丸茂を激怒させる。
川津は高名な地震学者の娘婿だったが、妻の裕子(松尾嘉代)との間は冷え切り、自身が営む研究所の所員・富子(多岐川裕美)とのひと時に心の安らぎを得ていた。
防災のための研究を続ける川津に興味を持ったルポライターの橋詰(永島敏行)は、彼に密着取材することに。橋詰は富子の幼なじみであり、彼女に想いを寄せているため、彼女と川津の関係に複雑な思いを抱いていた。
川津の行動はエスカレートし、首相(佐分利信)はそれを抑えるためにも彼と直接会って意見を聞くが、非現実的な理想論として片付けてしまう。
川津はついに裕子と離婚し富子と一緒になる決断を下す。裕子は、富子や仲人の丸茂を交えて話し合いの場を持つことを条件に了承する。それぞれが話し合いに向かっていたその時、マグニチュード7.9の直下型大地震が東京を襲った。川津夫妻は地下鉄に閉じ込められ、崩壊しつつある高層マンションに取り残された富子を橋詰が救いに向かう…。
本作のみ80年代初頭の作品だが、70年代作品のテイストが色濃く残っていることもあり、あえてここで取り上げさせていただいた。
主人公たちの三角関係(こちらは四角)の愛憎劇がベースになっているところなど、かなり『大地震』を意識したストーリーだ。しかも後半、隅田川の水が流れ込んだ地下鉄でのサバイバルは完全に『ポセイドン・アドベンチャー』である。そんな(ある意味)サービス精神旺盛な脚本が、巨匠・新藤兼人によるものであることに驚かされるが、確かに四角関係の湿度や日本的な展開は新藤ならではと言えないこともない。
とは言え、家具が倒れ降り注ぐ高層マンションや、大量の水流が押し寄せる地下鉄構内は、実物大セットの迫力とそこで熱演する出演者たちの奮闘ぶりが相まって、迫力満点だ。『日本沈没』にしても、こんなに建物が倒壊するのか?というぐらいの被害が描かれるが、当時は建築基準法に現在と同等の耐震基準が導入される前だったことを考えると、多少の映画的誇張はあったかも知れないが、過剰に誇張した表現でもなかったかも知れない(耐震工学者で東京大学の教授だった大崎順彦もアドバイザーとして参加している)。
しかし、この映画で最も重点が置かれているのが、地震学者でありながら防災対策の研究にも執念を燃やす川津の姿だろう。首相を相手にしても物おじせず意見をぶつける彼の、行動派を通り越して武闘派と言ってもいいほどの行動力。彼が挙げた具体的な防災手段の数々は、恐らく現実の考察に基づいたものだろう。
これに対する首相ら政府首脳部や地震予知会の学者たちのリアクションは、「ああ、現実にはこんな感じだろうな」と思わせる冷め具合。『大地震』でも軽く描かれたタイプの内容だが、むしろ『タワーリング―』や『ジョーズ』などで登場した「利益優先でイベントを強行する」人々と根本的な部分で似ているような感じもする。地震に見舞われた東京の惨状を見て狼狽し、川津の意見を無視したことを悔やむ首相の姿は、『日本沈没』の山本と「比べるとあまりにも情けない。演じた佐分利は丹波より一回り以上年長で見た目も貫禄があるために余計にそう思ってしまうが、実はこれも作り手の計算だったのかも知れない。一種の反面教師的な描き方とも言えるが、政治家が本気で防災に取り組まないとこういうことになる、というリアルな描写だったと言えそうだ。
さまざまな災害や異常事態が描かれるパニック映画は昔から現在に至るまで人気のジャンルだが、質的にもテーマの描き方にしても原点であり最高峰だった70年代の作品群は、今見ても心に響くものを持っているのだ。
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2021/01/14 00:55
すぴ豊です。
『タワーリング・インフェルノ』『日本沈没』
『ジョーズ』は僕のオールタイムベスト10に
入るぐらい好きです。
『大地震』も好きですが、
あの映画の後、しばらくエレベーターのれなくなりました。
ちなみに『ウィラード』というホラー映画も
トラウマで『ネズラ』の記事みて思い出しました(笑)
2021/1/18 更新
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