オリジナルのドキュメンタリー作品にも注目が集まるNetflxにとって、「戦争」は力を入れているジャンルのひとつだ。

PTSDに苦しむ退役軍人をサーフィン療法で癒やす『Resurface:波に包まれ』（17）をはじめ、当時の記録映像をカラーで復活させた『WWII最前線: カラーで甦る第二次世界大戦』（19）など、どれも様々な視点で描かれている。

その中で、ひときわパーソナルな目線で、軍人の抱える葛藤を捉えた作品が『父、兵士、その息子』だ。

Netflixオリジナル『父、兵士、その息子』あらすじ

アフガニスタンで重傷を負ったシングルファザーと息子たちの軌跡。それは、人として、家族として、犠牲の重さを考え、償いを探し求めた長い道のり。

出典元：https://www.netflix.com/jp/title/81002464

2人の子どもを持つ陸軍兵士ブライアン・アイシュ。
息子たちを愛し、尊敬される彼が負傷して帰還したことを機に、家族の絆に変化が起きる。

2人の息子、帰還後に出会った恋人など支えられながら、アイシュと家族は新たな人生を見つけようとするが…。

兵士と2人の息子の変化を、10年の歳月をかけて捉えたドキュメンタリー映画となっている。

父の帰還が少しずつ家族に不穏な空気を与える

Netflix映画『父、兵士、その息子』独占配信中

『父、兵士、その息子』は、父アイシュが休暇のためにアフガニスタンから一時帰還する場面で始まる。

空港で長男のアイザック、次男のジョーイに迎えられたアイシュは2人をきつく抱きしめ、休暇を楽しく過ごす。

そんな父を誇りに思う息子たち。しかしインタビューでは、父が戦地に出向くたびに無事に帰還してくるかを心配していた。

アイシュも軍人である務めを全うしたいと同時に、子どもたちに負担をかけていないか、常に気にかけている。

兵士であると同時にシングルファザーであるアイシュは、息子たちにとってかけがいのない存在だ。「1人で2人育てるより、兵士のほうがマシ」と語るアイシュだが、子どもたちとの絆を大切にしている姿勢は見ているこちらにもとしっかりと伝わってくる。

しかしアイシュが負傷により帰還してから、家族の間に不穏な空気が立ち込める。

Netflix映画『父、兵士、その息子』独占配信中

足を負傷したアイシュは、その後の経過も望ましくなく、片足の切断を決意する。
現役復帰は絶望的となったアイシュは、兵士である誇りを失ってしまったのだ。
次第にアイシュはふさぎ込むように家にこもり、自分のことを治療と世話がやけるだけでなく、障害給付金を受け取る軍のお荷物にすぎない“できない男”と自称するようになる。

そんな中で、アイシュはシングルマザーのマリアと出会い、二人は恋人同士になる。
二人の仲はもちろん、息子たちもマリアになつき、少しずつ家族の間に穏やかな空気が流れ始める。

やがてアイシュはマリアにプロポーズをし、新しい人生がスタートした。

しかし足の切断後、なかなか義足をつけるまでに傷口が完治せず、アイシュの苛立ちは募る。
医師にきつく当たる彼の目は、休暇で戻ってきたときとはまるで別人になっていた。