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【歪な事件の真相に迫る】フランソワ・オゾン初の実話を描いた物語『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』

理不尽がまかり通ってしまうこの世の中

 事件の概要、被害者達が背負ってきたもの、その重みや痛みや憤りについては、本作を目にすれば否が応でも向き合わざるを得なくなる。同時に、何故こんなことが起きてしまったのか、どうして早急に解決を迎えられなかったのか、理不尽ばかりがまかり通ってしまう原因は何なのか、そういったことにも向き合わざるを得なくなる。目撃するのは、そこに“悪”があるのは明白なのに、“正義”が果たされないという圧倒的矛盾。それらは「プレナ神父事件」に限った話ではなく、この現実にも、僕たちが生きる日常にも確かに蔓延る問題なのだということに気付かされるはず。

©2018-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-MARS FILMS–France 2 CINÉMA–PLAYTIMEPRODUCTION-SCOPE

 何かしらの地位や権力を手にした者が、必ずしもその力を正しく扱えるとは限らない。手にした力に溺れ、増長したり悪用するといったことはよくある話。だからこそ、私利私欲のために扱わせない徹底された規則などが設けられていることが多い。しかし、バレないのであれば、バレたとしても捻じ伏せられるのであれば、保身のため、欲望のため、人は悪意をもってその力を利用してしまう。そうして神に仕える身でありながらも神に仇なし、神を信じる者達の心を利用し、教会では負の連鎖が起こり続けていた。ただ、協会側を擁護するわけではないのだが、人は神ではない。過ちも犯すし、時には繰り返す。完璧な人間なんてものは存在しない。慈悲の精神の大切さを心得ていたとしても、理不尽に晒されれば誰かれ構わず許すことなどできやしない。教会で起きていた事件や、そこに付随する物事の善悪を見極めることはできても、人間が抱える脆さやズルさ、永久に切り離すことのできない精神的な弱さを解決するための術だけはどうしたって見出せない。その不確定要素こそが理不尽を生み出す元凶となり人々を苦しめるのだが、僕たちは元凶の刈り取り方を知らぬまま生きている。「プレナ神父事件」について目にしているはずが、気付けばこの社会や人間のあり方について思考を巡らせるに至ってしまう。それこそがこの作品の真髄であると僕は思う。

【あの人は今】『仮面ライダークウガ』メインキャストの当時と現在の活躍に迫る!
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ミヤザキタケル

長野県出身 WOWOW・sweet連載、文春オンライン・映画boardで記事執筆。 映画サイ...

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