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ジョン・ウーと香港映画の精神性

■香港からハリウッドへ

1992年の『ハードボイルド新・男たちの挽歌』を最後に香港を飛び出し、翌年の『ハード・ターゲット』でハリウッド進出を果たす。1997年の『フェイス/オフ』は大ヒットを記録。し かし1997年という年は香港がイギリスから中国に返還された歴史的な年である。返還間近に香 港を去っことも悪かった。ファンたちは裏切りと失望を感じずにはいられなかったはずだ。彼らは とにかく熱狂的なのである。ウー信者たちは『男たちの挽歌』から始まった輝かしい香港時代のジ ョン・ウーをこそ支持する。男同士の強く固い絆を愛していた者たちの目にはハリウッド作品は不 純なものとして映った。しかしハリウッドに行ってからのジョン・ウーには男と男の熱い友情ばか り描いてはいられない理由があった。まずそのことを理解しなければならない。

多くのウー信者たちがハリウッド時代の作品に不満を抱くのは、『男たちの挽歌』に典型的な「友 愛」、男たちのむせ返るような暑苦しくも魅力的な絆を原動力とする強烈な「エモーション」を甘 受することが叶わないからである。それは様々な研究者や評論家がすでに指摘している。『ハード・ ターゲット』以来、ジョン・ウーは出来のいい、ただのアクション映画しか作らない。自分たちは もっとエモーションを感じたいんだ!そう叫びたくなるのも分からなくはない。しかしハリウッド が要請するのは強靭な肉体を持った一人のヒーローであり、持ち前の「友愛」を描くことは難しか しく、思い通りの仕事がなかなか出来なかったのだ。進出作となった『ハード・ターゲット』は強 いヒーローであるヴァンダム一人のための映画となっている。『ブロークン・アロー』や『フェイ ス/オフ』も、主人公が二人いて彼らの何かしらの絆を感じられはするが、あくまで善と悪とに分 かれ、同じ敵向かって共闘することは決してない。『ミッション:インポッシブル2』や『ペイチ ェック 消された記憶』にしても、熟達の演出力が発揮される最高度のアクションは堪能出来るが、 やはりトム・クルーズやベン・アフレックが勇猛果敢に死闘を繰り広げるヒーロー映画でしかなか った。だがジョン・ウーもそうしたハリウッドの要請やその製作(撮影)体制に嫌気が差していた はずである。実際2003年の『ペイチェック』を撮り上げると、三国志に材を求めて中国に舞い 戻り、『レッドクリフ』二部作を製作することになる。しかしその後はやや不調きが続く……。

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