映画board

マエストロのズームが志向するその先へ

■ルキノ・ヴィスコンティの肖像

ルキーノ・ヴィスコンティは忘れ去られた作家である。1978年岩波ホールでの『家族の肖像』 初公開によって日本でのヴィスコンティ受容は転換期をむかえ、80年代には空前のヴィスコンテ ィ・ブームが巻き起こった。以来度々名画座などで特集上映が組まれ、2004年には最大規模の 「ヴィスコンティ映画祭」が開催された。さらに2016年には生誕110年、没後40年の特集 上映があり、ヴィスコンティはその都度19世紀の遺風によって華麗に舞い戻り、その作品世界は スクリーン上に鮮やかに甦っている。だが祭りのあとには寒風が吹き荒ぶ。特集の賑やかさが止む と今度は19世紀の暗く深い淵へ静かに帰還しなければならない。それが前世紀的雰囲気を身に纏 った貴族としての宿命である。そうした意味でヴィスコンティは他の監督に比べてどうしても悲壮 感が強くなる。ヴィスコンティは常に「忘れ去られる」作家なのだ。

そして今、ヴィスコンティは再び忘れ去られようとしている。それを少しでも押し止めることは できないものか。わたしたちに出来ることは「遺物」としてのヴィスコンティ作品の軌跡に考古学 的な探りを入れ、その都度新しい空気を入れていくことでしかないだろう。そうして過去の壮麗な 記憶にそっと耳を澄ませてみる。するとヴィスコンティのおぼろげな囁きが聞こえてくるはずだ。 その囁きによって浮かび上がるのがヴィスコンティの卑俗なイメージであるとしたらどうだろう。 ほんとうはそれを何度も目撃してきたはずなのだ。なぜ今まで違和感を覚えなかったのか。それは 常にヴィスコンティの華麗な貴族的イメージの下に埋没してしまっていた。わたしたちはいつまで も盲目的ではいられない。

Amazonプライムビデオで観られる子ども向けのおすすめ映画25選
次のページ : 最初のズーム・アップから

Commentコメント

コメントしてポイントGET!

投稿がありません。

この記事の画像  1枚

Writer info

バンビーノ

プロデュース業、時々映画ライター。BANGER!!!、リアルサウンド映画部、FILMAGA、他メ...

more

Recommend関連記事

この記事について報告する

ますかた一真の映画 星占い - 今週の運勢

Review最新のレビュー

ナツキ

2020/09/16 17:59

最高の組み合わせ

5

「糸」

かにこ

2020/09/13 19:56

心臓バクバク

3

「カウントダウン」

Comment記事へのコメント

Ranking動員数ランキング

2020/9/14 更新

映画動員数ランキングへ

Popular人気記事&コンテンツ

Weekly Vote今週の対決

投票する

Pollアンケート

あなたの好きな映画の見かたは?

あなたの好きな映画の見かたは?
絶対、字幕版
どちらかというと字幕版
どちらも観る
どちらかというと吹替版
絶対、吹替版
アンケートに答える

Official SNS公式SNS

PR Storyいま読みたい記事

Presentプレゼント

ご応募はこちら

Popular Tags人気のタグ

おすすめ映画まとめ ランキング 洋画 インセプション アベンジャーズ/エンドゲーム インターステラー ダークナイト 最強のふたり 編集部選(おすすめ映画特集) ジャンゴ 繋がれざる者

Pick Upピックアップ