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二宮慶多

【映画の波打ち際13】『シスターフッド』にみるフィクションとドキュメンタリーの臨界

■言葉をもつことともたないこと 

映画の冒頭に興味深いやり取りがあります。新作ドキュメンタリー作品の監督として取材を受ける池田ですが、記者からの質問は辛辣なものです。一言で言ってこの映画は何が言いたかったのか…。その問いに池田はうまく答えられません。しかし言語化出来ない感情をすくいとるのが映画です。映画は抽象的なことを具体化します。その力を信じなければ映画監督は務まらないでしょう。そういう気持ちはないですかと、逆に問われた記者は自分は鈍感だからと言うことしかできません。モワモワっとした人間の感情とゆっくり時間をかけて向き合うために映画というメディアはあるはずです。ドキュメンタリー映画はそのときほぐしのプロセスを描きます。そうした映画のあり方自体を問い直そうとする本作の西原孝至監督の試みは具体的にはどのようなものなのでしょうか。

■フィクションとドキュメンタリーの臨界

もともとドキュメンタリー映画として撮影が進められ、後から劇映画パートを付け加えたという本作は確かにドキュメンタリーと劇映画との境界が極めて曖昧になっています。近年、そうしたボーダーレスな作品世界が多くみられますが、本作と他の凡百の作品が決定的に違うのは、監督がその曖昧な領域に細心の注意を払いながら足を踏み入れていることです。広告的には、「ドキュメンタリーと劇映画が混在した実験的なモノクロ映画」ということになるのでしょうが、西原監督は形式上はドキュメンタリーと劇映画のあわいを漂いながらも、その実、明確な“フィクション”を目論んでいます。池田のパートナーのユカが興味深いことを言っています。「そこはいつも現実となった夢の中」。この台詞から西原監督が意図するものを読み取れば、現実と虚構の“臨界”がついにみえてくるでしょう。

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バンビーノ

プロデュース業、時々映画ライター。BANGER!!!、リアルサウンド映画部、FILMAGA、他メ...

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