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【人気ホラー映画シリーズ・ガイド】File1:『エクソシスト』全5作

<『エクソシスト』(1973)>

https://www.screamhorrormag.com/wp-content/uploads/2015/01/exorcist.jpg

 ‘70年代オカルト映画ブームの火付け役となったメガヒット作。全米の年間興行収入ランキングで『スティング』に次ぐ2位(1億2800万ドル…現在の貨幣価値に換算すると約18億ドル)を記録し、ホラー映画として史上初めてアカデミー賞の作品賞にもノミネートされました。当時の新聞報道によると、そのショッキングな恐怖描写に耐えられず、体調不良を訴えたり失神したりする観客が続出し、満員の映画館に入れず外で並んで待っていた人々が暴徒化したことから、事態を鎮静するため警官隊が駆けつける騒ぎまで各地で起きたとのこと。文字通りの社会現象となったのです。

 舞台はワシントンD.C.郊外の街ジョージタウン。映画撮影のため家を借りていたハリウッドの人気女優クリス・マクニール(エレン・バースティン)は、12歳の一人娘リーガン(リンダ・ブレア)の様子が変なことに気付きます。ある晩、ホームパーティの最中にリーガンが失禁し、さらに寝かしつけた彼女のベッドが激しく揺れるというポルターガイスト現象が発生。驚いたクリスは病院の医師に相談しますが、しかしみるみるうちにリーガンは別人のように変貌して狂暴化し、ついには医師団も打つ手をなくして匙を投げます。しかも、キンダーマン刑事(リー・J・コッブ)によると、不審死を遂げたクリスの友人をリーガンが殺した可能性がある。途方に暮れたクリスは、ワラにもすがる思いで地元教会のカラス神父(ジェイソン・ミラー)に相談。娘に悪魔が取り憑いているというクリスの言葉を疑問に思っていたカラス神父ですが、しかしリーガンの尋常ではない姿を目の当たりにし、さらには彼女に取り憑いている悪魔と対話して悪魔払いの必要性を確信。教会の上司と相談した彼は、悪魔払いの経験が豊富なメリン神父(マックス・フォン・シドー)を呼び寄せ、幼いリーガンの肉体に巣食う悪魔と戦うことになります…。

 原作はウィリアム・ピーター・ブラッティのベストセラー小説ですが、その元ネタは1949年にメリーランド州で実際に起きたという悪魔憑き事件。前作『フレンチ・コネクション』(’71)でアカデミー賞作品賞や監督賞に輝いたウィリアム・フリードキン監督は、もともとドキュメンタリー作家だったという自身の経験を活かし、いわゆるホラー映画的な「怖がらせ演出」をとことん排除したドキュメンタリー的アプローチに徹することで、ごく当たり前の日常の中に突然、悪魔という非日常の存在が出現する恐怖をリアルに描いています。そのうえで、本作は善と悪の闘いを通して人間の潜在的な信仰心に問いかける。それでもあなたは神(=善)を信じますか?と。エレンが無神論者でカラス神父の信仰心が揺らいでいること、最終的に勝ったのは善なのか悪なのか結末を観客の解釈に委ねているのもそのため。フリードキン監督が本作のことを「ホラー映画ではなく宗教映画だ」と呼ぶ所以です。

 また、悪魔に取り憑かれた12歳の少女が大人でも口にすることが憚られるような暴言を吐き、しまいには十字架で血みどろのオナニーを繰り広げる(股間に十字架を突き刺すシーンは大人が代役を務めています)という極めて冒涜的かつ暴力的なシーンの数々もショッキング。もちろん、大御所ディック・ミラーの手掛けたリーガンの特殊メイク、首が360度回転するダミーボディの仕上がりも見事。さらに、当時演技派女優として頭角を現していたエレン・バースティン、まだ13歳だった新人子役リンダ・ブレア、スウェーデン映画の名優マックス・フォン・シドー、ベテラン名脇役リー・J・コッブなど、あえて人気トップスターを起用せず中堅俳優をメインに固めたキャスティングも、物語の真実味を増すことに一役買っています。今見ても十分に怖い映画と言えるでしょう。

オススメ映画を動画や記事でご紹介!【オススメ映画特集】
次のページ : <『エクソシスト2』(1977)>

Commentコメント

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杉山すぴ豊

2020/04/19 23:56

すぴ豊です。
TV放映は岸田森さんの吹き替えでしたよね?
あの「3」の大きなハサミが本当に怖かった。
あとバッタの大群のニュースきくたびに「2」思い出します。

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なかざわ ひでゆき

2020/04/20 03:46

どうも!ご無沙汰してます!
岸田森さん、カラス神父ですよね!中西妙子さんも懐かしいです。
『エクソシスト3』、そうなんですよ!
自分はあの真夜中の静まり返った病院の廊下で、これでもかと焦らしに焦らしまくった挙句の、巨大なハサミを持った白衣の人がドーン!という、本当にあの一瞬に賭けた溜めの恐怖演出に痺れました。
「エクソシスト2」はバッタの大群も然ることながら、狭い崖の隙間を登っていくシーンで、足を踏み外した山岳ガイドが下へ落ちて絶命するまでを克明にカメラで追ったシーンに、ブアマンの意地悪さを感じて戦慄しました(笑)。

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なかざわ ひでゆき

'21年でキャリア30年目を迎える映画&海外ドラマ・ライター。旧ソ連モスクワ育ち。日...

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