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若手実力派No.1俳優・菅田将暉の大躍進の秘密は" 1/16拍子"にあり? 映画『共喰い』での出逢いが原点に

■『共喰い』の衝撃

(C)田中慎弥/集英社・2012「共喰い」製作委員会

ほんとうに凄い映画をみた時、人は言葉を発せられなくなる。あるいは、口をあんぐりと開けたまま、ただ黙っているいることくらいしか出来ない状態が続く。それぐらいの衝撃が映画にはあり、そういった映画には一体人生の中でどれくらい出逢うことが出来るのだろうか。青山真治監督、菅田将暉主演による映画『共喰い』(2013)は、間違いなくそうした一本に数えられるべき作品である。

田中慎弥による芥川賞を受賞した短編小説を原作とする本作は、昭和63年の夏を舞台に、川辺で父と愛人と3人で暮らす17歳男子高校生・遠馬が体験するまるで地獄のような人間の性(さが)を描き出す。遠馬は、セックスの最中に相手の女性に暴力を加える父を嫌悪していたが、その血を引く自分もやはり同じようなことをしてしまうのではないだろうかという不安と恐怖を抱いていた。冒頭で遠馬が17歳の誕生日に彼女と神社の神輿庫でセックスをするが、それはティーンエイジャーによるピュアで瑞々しいものではなく、本能を剥き出しにした性が暴力的に漂っている。そして遠馬もやはり父と同じように過ちを犯してしまう。そんな遠馬に魚屋を営む実母の仁子が「いっぺんでもやってしまうたんじゃったら覚悟しちょき」と警告するが、田中裕子演じるこの仁子の台詞の凄みに驚いてしまう。この後、物語は急速に展開していき、昭和天皇崩御によって夏が終わる。

(C)田中慎弥/集英社・2012「共喰い」製作委員会

あらすじだけを追ってみても、何だかおぞましく、後味の悪そうな印象を受けてしまうためか、本作の興行成績は振るわなかった。しかし批評家からの評価は抜群に高く、第66回ロカルノ国際映画祭ではYouth Jury Award最優秀作品賞とボッカリーノ賞最優秀監督賞を見事受賞している。さらに本作で主人公・遠馬を演じた菅田将暉は第37回日本アカデミー賞で新人俳優賞に輝いた。一般的には菅田の代表作としてあまり認知されていない本作が、今をときめく若手人気実力派No.1俳優のキャリアを決定付けた作品であったことを、本作の衝撃とともに改めて明記しておきたい。

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altemislune.b

2020/03/31 22:36

共食いをフィーチャーした記事は余りないので、本当に興味深く読ませていただきました。
まさしくその通りなんだろうなと思われました。

ただ、菅田将暉を、天才など頭が一つ二つ抜けたスターダムにまで押し上げたのは、同じ青山監督のあゝ荒野での演技ではないでしょうか?
日本アカデミー最優秀主演男優賞も2番目の若さ、日刊映画賞は最年少で受賞した、賞総なめした作品です。
こちらについて何故か書かれないメディアばかりで、どこかから、事務所から?圧力でもかかっているのかと疑うこともあります。
若手というかアラサー含めて頭抜けているかと思うのですが。

何にせよ、興味深い記事をありがとうございました。

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バンビーノ

プロデュース業、時々映画ライター。BANGER!!!、リアルサウンド映画部、FILMAGA、他メ...

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