映画board

【過去を通し未来を見据える】今この瞬間を生きる勇気『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』

与えられた幸福

書いた小説を否定され、一家の経済状況は苦しくて、才能に限界を感じていて、病気で寝たきりで、姉妹それぞれが何かしらの壁にブチ当たっている現在とは裏腹に、父が戦争で不在なこと以外は、明るくて、可能性に満ち溢れていて、幸福な時間を過ごしているように見える彼女達の過去。何事にも一長一短はあるし、良い部分があれば悪い部分もあるのが物事の道理なのだが、心が弱ってしまっている時には、どちらか一方にしか目が行かなくなることがあると思う。

大人になれば、社会に出れば、自らを取り巻く環境や状況は否が応でも大いに変わっていく。かつて親が担ってくれていた数々の責任が自らに降りかかるのと同時に、自分には何ができて何ができないのか、自分という人間の器の大きさや底の浅さ、限界だって見えてくる。そうして子ども時代に所持していたはずの“可能性”は次々と潰えていき、身の丈に合った生き方を選択していかなければならなくなる。そんな自分のリアルに納得できていれば何の問題もないのだが、納得できていないのであれば抗うしかない。しかし、その抵抗が必ずしも実を結ぶとは限らない。理想を追い求めると言えば聞こえは良いが、思い通りにいかなければ、苦行のような日々が続けば、自ずと心は疲弊していく。親に守られていたあの頃を、社会や世の中の仕組みに取り込まれる以前の身軽さを、無限の可能性を見出せていたあの頃を欲してしまいたくもなる。

ただ、過去に救いを求めても苦しみは増す一方。かつて過ごした時間は、追い求めた所でもう存在しないのだから。自らが歳を重ねているのと同じく、親や兄弟姉妹だって当然歳を重ねている。子どもが成人すればそれぞれの道を歩んでいくものだし、兄弟姉妹に限っては自分の家庭を築いていたりもする。かつての家族の在り方とはもう形が変わってしまっている。元通りというわけにはどうしてもいかない。時間の流れや変化を止めることなどできやしない。何より、かつて味わってきた幸福の基盤を築いてくれたのは親であって自分じゃない。親が与えてくれた礎の上に成り立つ幸福の中をぼく達は生きていただけ。ずっとそこに縋り続けるのもアリだけど、親が老いれば、いなくなれば、当然崩れ去る。与えられた幸福には、いつか必ず終わりがやってくる。

【完全保存版】感動で泣けるおすすめ映画ランキング TOP30【2021年】
次のページ : 今この瞬間と向き合う心

Commentコメント

コメントしてポイントGET!

投稿がありません。

この記事の画像  8枚

Writer info

ミヤザキタケル

1986年、長野県生まれ。 2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW...

more

Recommend関連記事

この記事について報告する

Review最新のレビュー

甲斐琴乃

2021/12/05 06:39

懐かしい

3

「超少女REIKO」

Comment記事へのコメント

Ranking動員数ランキング

2022/1/11 更新

映画動員数ランキングへ

Popular人気記事&コンテンツ

Weekly Vote今週の対決

投票する

Pollアンケート

好きな映画のジャンルは?

好きな映画のジャンルは?
SF
アクション
クライムサスペンス
コメディ
青春
ドキュメンタリー
ヒューマンドラマ
ファンタジー
ホラー
ミステリー
ミュージカル
ラブロマンス
戦争
歴史
アンケートに答える

Official SNS公式SNS

PR Storyいま読みたい記事

Popular Tags人気のタグ

洋画 邦画 おすすめ映画まとめ アクション ミステリー・サスペンス ドラマ かわいい イラスト ラブロマンス ホラー

Pick Upピックアップ