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【深読み映画レビュー】『ダンサー そして私たちは踊った』~生きづらさを抱えた全ての人々に勇気と誇りを

(c) French Quarter Film / Takes Film / Ama Productions / RMV Film / Inland Film 2019 all rights reserved.

 スウェーデン版アカデミー賞と呼ばれるゴールデン・ビートル賞にて、本年度の最多となる主要4部門(作品賞・主演男優賞・脚本賞・撮影賞)を見事に受賞したほか、マドリード国際LGBT映画祭では観客賞と審査員賞を、シカゴ国際映画祭ではゴールドQヒューゴ賞(地元出身の大物評論家ロジャー・エバートを記念した特別賞)を、オデッサ映画祭ではグランプリほか3部門を獲得するなど、世界各地の映画祭で高い評価を得ている『ダンサー そして私たちは踊った』。スウェーデンとジョージア(旧グルジア)、フランスの合作で作られた本作は、伝統を重んじるジョージア国立民族舞踊団に所属する若いダンサーが、同僚男性に恋することで自らが同性愛者であると自覚し、その事実を受け入れることで逞しく成長していく姿を瑞々しいタッチで描いていきます。

<今なお根強い偏見の残る保守的な国ジョージア>

 監督はジョージア系スウェーデン人のレヴァン・アキン。’13年にジョージアの首都トビリシでプライド・パレードを企画した若者たちが、保守的な極右勢力から激しい妨害を受けたことを知った彼は、性的少数者をテーマにした映画を作らねばと考えたのだそうです。ご存じの通り、ジョージアはかつてソビエト連邦の一部だった旧社会主義国。’91年に独立を果たしたものの、その直後に勃発した内戦によって社会も経済も荒廃し、復興を果たした今もなお紛争の火種はくすぶり続けています。

 それに加え、古代文明の時代から3000年の歴史を誇る(ジョージア名物のワインはエジプト女王クレオパトラも愛飲したとされる)ジョージアでは、トルコやペルシャ、モンゴルなど周辺国からたびたび侵略を受け、長きに渡って戦争を繰り返してきたため、男性は戦士となるべく男らしく、女性は子孫を残すため女らしくすることが当然とされ、国を守るための伝統的な家父長制が今も重んじられています。また、国教であるジョージア正教の信者も多い。そのため、勇敢な男同士の熱い友情や絆をことさら尊ぶ習慣がある一方、同性愛は重大なタブーと見做されてきました。

次のページ : 圧力や妨害を乗り越えた撮影舞台裏

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Nabi Nabi

2020/02/22 01:25

私も普通でない。普通とは何だろう。

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なかざわ ひでゆき

キャリア25年以上の映画&海外ドラマ・ライター。旧ソ連モスクワ育ち。日大芸術学部映...

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