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【人の心の光と影】今ある自分を見つめ直すキッカケを与えてくれる『影裏』

水のような人の心と関係性

あなたには「親友」と呼べる間柄の人がいるだろうか。いるのならば、一体何をもって「親友」と定義付けしているだろうか。付き合いの長さ、分かち合ってきた想いの濃密さ、対等であると信じられる関係性、理屈などでは推し量ることのできないものetc...、人それぞれに様々あると思う。もちろん、あなたとご友人との友情を否定するつもりは全くない。何が言いたいのかというと、劇中に登場する川・雨・海、つまりは水の如く、人の心は、人と人との関係性は、常に変化が生じ、定まった形や答えを持ってはいないということ。何かが混じれば色合いや性質は変わってしまうし、熱せられればお湯にもなる。時に激しく、時に緩やかに、ありとあらゆる形へと変わっていく。常に変化し続ける状態を互いに見極められていてこそ構築できているものがきっとある。

Ⓒ2020「影裏」製作委員会

劇中の二人が親友であったのか、そこに確かな友情が築かれていたのか、それは彼らにしか分からないことだし、答えを出すのは彼ら自身。ただ、二人の関係性を通して見えてくることがいくつもある。どちらかと言えばぼくは今野タイプの人間だから、彼の気持ちが、弱さが、ズルさが、どれもこれも理解できた。自分でもかつて経験したことが、身に覚えのあることがたくさんあった。数少ない歩み寄ってきてくれた相手には、良く思われたい。本来であれば見過ごせなかったり許せなかったりすることでも、関係を壊したくないからと大目に見てしまう。それらをカバーできるだけの相手の良い部分が見えていたり、楽しい時間を共に過ごせていたり、良好な関係性が構築できていたのなら、大した問題ではない。目を瞑ることで、割り切ることで、この関係がずっと続いていくのなら、それこそがベストなのだと思ってしまう。

Ⓒ2020「影裏」製作委員会

しかし、押し殺した自分の心、その痛みや傷は間違いなく蓄積されている。本音を隠し続けていれば、やがてその関係性は対等ではなくなっていく。また、関係性が深まれば深まる程に、相手の良い部分がより見えてくる反面、相手の嫌な部分だって同等に目に付くようになっていく。ふとしたキッカケで、ダムが決壊するかの如く想いが爆発してしまうことだってあると思う。そうなれば、今まで許容できていたことが許容できなくなる。抑えてきた想いをブツけずにはいられなくなる。場合によっては修復し難い傷を負ったり負わせてしまうこともあるだろう。そして、そこでこそ友情の真価を問われることになる。衝突や拒絶を経てもなお関係性を維持・再構築できるのか。それとも、乗り越えられず終わりを迎えてしまうのか。情けない話だけど、そうして終わりを迎えてしまった関係性がぼくにはいくつもある。あなたの場合はどうだろう。たとえ経験しておらずとも、彼らとは全くタイプの異なる人であろうとも、こういった人達がいるのだと、こういった関係性もあるのだと知ることができる。それもまた、価値あることではないだろうか。

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ミヤザキタケル

長野県出身 WOWOWシネピック連載、映画boardにて記事執筆。 映画サイトへの寄稿・ラ...

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