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【CATSレビュー】極上『キャッツ』体験のための手引き 酷評の理由と作品の魅力

『キャッツ』はなぜここまで批判に晒されたのか

TOKYO, JAPAN - JANUARY 22: Francesca Hayward attends the Japan premiere of 'Cats' at Roppongi Hills on January 22, 2020 in Tokyo, Japan. (Photo by Yuichi Yamazaki/Getty Images)

『キャッツ』は現在、かなりの注目を集めている作品だ。それは良い意味でも悪意味でもある。本作は米国公開と同時に、各批評家たちからかなり痛烈な批判を浴びた。この酷評は封切り前の日本国内にも瞬く間に浸透する。悲しいことに、SNSの発展により面白半分で火に油を注ぐような悪評も散見された。作品を批判することが、一種の笑いとして消費されてしまい正当な評価を得られなかった点もあっただろう。こうした経緯もあり、評価という点では本作はとても苦戦していた。
 批判の多くは、ヴィジュアルや演出など映画自体の魅せ方に関わる部分についてであった。『キャッツ』は元々、舞台版でも猫の毛の流れの模様を描いた全身タイツにファーをつけ、メイクも人間の顔の上に猫の顔を模したメイキャップが施されている。この時点で既に、見慣れない人間の姿に驚く人も多いだろう。しかし映画ではこうしたピタッとしたスーツの他に、CGで動く耳や尻尾が加わる。重力や意思を感じさせない動きに「気味が悪い」などの意見が散見された。これは映像技術の進化が裏目に出た結果だろう。さらに元々舞台とは、広いステージを遠くから定点で鑑賞するものである。この場合、『キャッツ』の猫たちの過剰なメイクやスーツは“抽象的”に映る。なんとなく華やかで、さらには役者のしなやかな身体から生まれる表現やダンスによってなんだか猫のようにも見えてくる、とさえ感じられる。しかしトム・フーパーはクロースアップの演出を強みとした監督であり、映画版ではこうした過剰なヴィジュアルを、大きなスクリーンで余すところなく映してしまった。これは人間が作品に没入することを遮ってしまう要因にもなっただろう。
 加えて、ゴキブリやネズミなど、猫以外の生き物も擬人化されている。予告にも登場しない彼らの存在は、元々苦手意識を持たれやすい生き物の擬人化とあってさらに多くの人に嫌悪感を与えてしまった。こうした演出における一般視聴者との感覚のズレが本作をここまで悪評に晒した理由だと考えられる。
 その一方で本作は、評価されるべき部分も多くある。歌唱シーンでの生き生きとした猫たちの様子や、力強いダンス。様々なジャンルの音楽やダンスを網羅して楽しめるエンターテインメントとしては大きな影響力を持っていたのではないだろうか。

子どもと観たい、おすすめの80〜90年代映画 8選|あのドキドキを親子で共感!
次のページ : 映画『キャッツ』の舞台版との違いは

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高桑 ムツ子

2020/02/13 12:05

確かに演じている役者のクオリテーは一人一人高いが、涙流す一体感が無い演出かなと思うのは私だけかな?物足りなさ
感じました。

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Nana Numoto

ライター/プロップスタイリスト 映画やファッションライターとしていくつかの媒体で...

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