『暁に祈れ』（原題：A Prayer Before Dawn）
12/8（土）ヒューマントラストシネマ渋谷＆有楽町、シネマート新宿ほか全国順次公開
© 2017 - Meridian Entertainment - Senorita Films SAS
配給：トランスフォーマー
　
　

　
　
概要：
『新感染 ファイナル・エクスプレス』『チェイサー』など、時代を先取るエッジーな作品を世に送り出してきたカンヌ国際映画祭の2017年ミッドナイト・スクリーニング部門にて大きな話題となり、批評家サイト、ロッテン・トマトでも96％（2018年8/1付け）という高評価を獲得した話題作。

汚職や殺人が蔓延する実在のタイの刑務所に服役し、ムエタイでのし上がっていった英国人ボクサー、ビリー・ムーアの自伝ベストセラー小説を完全映画化。

ボクサーのビリー・ムーア（ジョー・コール）は、タイで自堕落な生活を過ごす内に麻薬中毒者になってしまう。
警察から家宅捜索を受けた彼は、逮捕され、タイで最も悪名高い刑務所に収容される。
そこは殺人、レイプ、汚職が横行する地獄のような場所だった。
死と隣り合わせの日々をどうにか生き抜くビリーは、やがて所内に設立されたムエタイ・クラブの存在を知り、ムエタイに真剣に取り組むことで立ち直ろうと奮闘する。
　
　

　
　
マスコミ試写を観る前、宣伝担当の方に「刑務所が舞台の映画なんですよね」と話しかけたところ、「（あなたが思っている）その刑務所とは全く違います」と教えられ、かなり過酷なストーリーと描写の映画で、観るのに覚悟が必要だと知りました。

ただ、私は、一筋縄ではいかない刑務所を舞台にした海外ドラマ「OZ／オズ」の大ファンなので、怖がりではありますが、『暁に祈れ』を最初から最後まで夢中で観ることができました！

ビリーが収監された刑務所は、もちろん「OZ／オズ」とは全く違って、寝台もない雑居房に大勢詰め込まれ、足の踏み場もない、プライバシーは1ミリもない、囚人は看守から動物扱いされる、まさに地獄そのものの場所。
実話ですよ！
　
　

タイの刑務所でたった一人の英国人ビリー

　
おまけに、ビリーはタイの言葉が分からず、助けてくれる人もいないという孤立無援の状態です。
映画は、ビリーの気持ちを観客が共感できるように、余分な字幕は付けられていません。
言葉が分からない恐怖をビリーと共有します。
彼の息遣いがはっきりと聞こえるように、音響にこだわって撮影されているので、自分もその地獄の刑務所にいる緊張感を味わい続けます。
臨場感がハンパないです！
　
　

ビリーの息遣いが伝わってくる！

　
　
いつ暴力を振るわれて殺されるか、レイプされるか分からないような、そんなきつい毎日にも、一筋の光のように、美しいレディボーイ（男性から女性に性別適合手術をした人）のフェイム（ポンチャノック・マーブグラン）との、ひと時の恋がビリーに訪れます。
　
　

刑務所で物を売っているフェイム

　
　
刑務所内でも、なかなか薬物を断つことができないビリー。
そんな中、もともとボクサーだった彼が、あらゆる意味での地獄から抜け出すきっかけになったのはムエタイでした。
　
　

ムエタイの技だけではなく、その精神も学んでいくビリー

戦いたいという思い、それだけがビリーの救い

　
『オンリー・ゴッド』で刑務所長を演じたヴィタヤ・パンスリンガムや、タイの伝説的なボクサーであるソムラック・カムシンなどが重要な役どころで出演していますが、映画に登場する大半は現地タイ人の元囚人たち。
頭を含む全身にタトゥーがある本物の人々が出演しているので、本当にリアルです！
　
　

ヴィタヤ・パンスリンガム

ソムラック・カムシン

タイ人の元囚人たち。本物です！

タトゥーが凄い

　
極限状態の中、孤軍奮闘する主人公ビリーを演じ切ったのは、アントン・イェルチン（今は亡き、と思うとつらすぎます…）主演の『グリーンルーム』や、キリアン・マーフィーやトム・ハーディなど人気英国スター俳優が出演したBBCのクライム・ドラマシリーズ「ピーキー・ブラインダーズ」で注目される新星、ジョー・コール。

何カ月も肉体改造に励み、ボクサーに相応しい鋼の肉体を手に入れた彼は、過酷な30日間の撮影に挑みました。
　
　

肉体改造して撮影に臨んだジョー・コール

　
　
繊細さと激しさを併せ持った熱演ぶりで、ハードなアクションも見事にこなし、2018年の英国インディペンデント映画賞（BIFA）で、主演男優賞に輝いたジョー・コール。
同賞にノミネートされていた、2017年・第70回カンヌ国際映画祭では男優賞と脚本賞を受賞した『ビューティフル・デイ』のホアキン・フェニックスを抑えての受賞です！
これはもう、絶対に『暁に祈れ』を観たくなりますよね！？
　
　

ハードなアクションだけでなく繊細な感情表現で観客を魅了