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山田優

スパイク・リーによるピップホップ版製作決定の『ロミオとジュリエット』新旧2作の描き分けを徹底比較!

■はじめに

イングランドの劇作家ウィリアム・シェークスピアによる『ロミオとジュリエット』7度の映画化中、最も人気の高いレナード・ホワイティングとオリビア・ハッセー主演のフランコ・ゼフィレッリ版(1968)と最も問題視され賛否が分かれるレオナルド・ディカプリオとクレア・デインズ主演のバ ズ・ラーマン版(1996)。いずれの作品が優れているかという比較はそれぞれのファンの間で平行線を辿るが、先行作品に敬意を払いながらも大胆不敵な演出によって不朽の恋物語を現代に甦らせたラーマン版の映像表現には映画史において瞠目されるべき試みがあることをはじめに述べておきたい。

■ロミオとジュリエットの出逢いの描き分け

(C) 1996 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

1.舞踏会の場面(第一幕第五場)

ジュリエットがロミオの前に姿を現し、ロミオがそれに引かれていくという筋はゼフィレッリ版もラーマン版も共通したものがあるが、その展開の効果は異なる。

ゼフィレッリ版では、豪華な舞踏会の饗宴の最中、一時の静けさとしてニーノ・ロータによる甘美なテーマ曲が歌われる内でロミオとジュリエットは互いの姿を探し求める。まるで結ばれることをためらいでもするかのように息を荒げていく二人の距離が確実に縮められる。恋人たちの宿命的な引力を名撮影監督パスクァリーノ・デ・サンティスのカメラが周到に捉えていくが、ゼフィレッリがここで達成しようとしている画面からはやはり芝居がかった大時代的な印象を受ける。これをメロドラマを好んだルキノ・ヴィスコンティ直系のイタリア人監督のものとして、映画的というよりも演劇的なのかオペラ的なのかと判断するのは別としても、同じようにオペラを志向するラーマン版の方が幾分かスマートな演出が施されているのだ。

現代の翻案作品らしく薬でハイになったロミオが頭を冷やすレストルームにある水槽が見事な装置として機能するのだ。水槽の中に釘付けになるロミオはそこに美しい瞳を見つける。見つめられるジュリエットははにかみながらも見返し続け、瑞々しい出逢いのシーンが作り出される。ここで水槽はこの後二人が恋に溺れていくことを清々しく暗示しており、ラストシーンへの重要な動機付けとなる。それは直後の有名な愛の囁きの場面(第二幕第二場)で早くも繰り返される。ロミオとジュリエットがプールに飛び込み、水中で恋に溺れながらも強く結ばれるのだ。ジュリエットは一度水の中から上がろうともロミオの囁きで再び飛び込んでしまう。二人は水中で甘いキスを交わす。ラーマンはここで同じ主題を変奏しながら繰り返すことで恋人たちの運命を巧み に決定付けようとしているが、ゼフィレッリ版では原作の有名な愛の囁きを再現するにとどまっている。

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