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【見逃し厳禁】全てのクソムシ共に贈るドス黒くて歪な青春傑作映画『惡の華』

破滅の先にある世界

©押見修造/講談社 ©2019映画『惡の華』製作委員会

あなたがかつて抱いていた願望・欲望・羨望・妄想etc…、それらの中に破滅的な要素を孕んだものはなかっただろうか。破滅的なモノが放つ引力に強く引き寄せられてしまっていた時期はなかっただろうか。10代の頃はとにかく大人や社会に、強いられたルールなんかに反抗したくなってしまうもの。ロックに憧れれば、ジミヘンやカート・コバーン、エイミー・ワインハウスなどの所謂「27クラブ」の面々にだって心惹かれる。それに酷似した匂いを醸し出す存在が身近にいれば、良くも悪くも一目置いてしまう。だが、そういった者達が発揮する力の多くは、「未来」や「希望」や「可能性」といった類いのモノを生贄にすることで得た力であることの方が多い。後先考えず生き急ぎ、全てを今この瞬間に注いでしまっているからこそ、辿る結末が破滅的であることが約束されているからこそ、常人離れしたエネルギーを発しているだけに過ぎないのだと思う。そして、真似できるかどうかはともかく、そういった刹那的な生き方に憧れを抱いてしまう瞬間がぼく達にはきっとある。

©押見修造/講談社 ©2019映画『惡の華』製作委員会

しかし、大人になれば、反抗していたはずの社会の枠組みに取り込まれ歯車の一旦を担うようになっていく。家庭や守らなければならないものが増えていき、27歳を過ぎても平然と生きていたのなら、自ずと破滅的なモノに対して焦がれる気持ちだって薄れていく。大人になればなる程にそれらの想いとは距離を置き、極力無縁でいられるよう努め、安定や安心を第一に考えて生きていくようになってしまう。ロックだったり破天荒な生き方にも憧れるが、ある程度の年齢に達しても尚それらを貫き通していくのにはそれ相応の覚悟が要る。観る人の年齢にもよるが、かつて焦がれながらも選べなかった世界や生き方、ぼくらとは少しばかり異なる選択をした少年少女の姿にあの頃の自分を重ね合わせ、きっと多くのことを感じられるはず。そして、あちら側を選ばなかったぼく達では、どう足掻いたところで外野でしかないのだと、今では立ち入ることの許されない世界を垣間見ているのだと、半ば傍観気味で彼らの葛藤を目の当たりにしていくことにもなるだろう。また、破滅的な生き方の行く末を「ドン詰まり」であったり「行き止まり」であると決め付けてしまいがちだが、その道を歩んだ者でなければ実際のところは分からない。そう、ぼく達はあちら側の人々が辿ることになるであろう道筋を、その先にある可能性の片鱗を覗き見ることになる。その生き様に、彼らが見出した可能性の向こう側に、激しく心を突き動かされてしまうことだろう。

©押見修造/講談社 ©2019映画『惡の華』製作委員会

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わかさ

2019/09/24 16:40

原作のファンです。玉木ティナさんがどんな演技をしているかはやく知りたくなりました。

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ミヤザキタケル

長野県出身 WOWOWシネピック連載、映画boardにて記事執筆。 映画サイトへの寄稿・ラ...

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