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怖い?愛くるしい? ゾンビ映画の元祖を振り返る

White Zombie / 恐怖城 (1932)

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/fe/Poster_-_White_Zombie_01_Crisco_restoration.jpg

この島にゾンビイと呼ぶ1人の殺人鬼が住んでいると言い伝えられている。彼は夜中、墓地を襲い死骸を盗み出し、魂なき肉骸を妖術によって思う侭に繰り、ありとあらゆる悪事を犯していると言うのである。原住民たちはゾンビイの名を聞くことさえ恐れ戦いた。ニューヨークの娘マデラインは許婚ニイルの勤めの関係でこの土地へやってきた。船中で知り合ったボーモンの親切な言葉にすすめられて彼の邸宅に滞在し、そこでニイルとの結婚式を挙げようと暗い夜道に馬車を走らせるのであった。暗い暗い闇の彼方に6人の死人を伴ったゾンビイの恐ろしい眼が光っていた。ボーモンの親切には深い企みがあった。

出典元:https://movie.walkerplus.com/mv2218/

1931年の『フランケンシュタイン』や『魔人ドラキュラ』に代表されるように、プレコード期のハリウッドでは怪奇ホラーへの人気が高まっていたことに加え、新たな「題材」を求めるムードがあった。

独立系映画を手掛けていたハルベリン兄弟は、1929年に探検家のウィリアム・シーブルックが発表した『The Magic Island』に着目した。その内容は、「ハイチには民間信仰による“ゾンビ”と呼ばれる生ける死体が存在し、こいつらはマスターの言いなりになっちゃうんだぜ」というもので、当時メディアはこれを大きく取り上げ話題となった。

更にブロードウェイではKenneth Webbによる『Zombie』なる演劇があり、『恐怖城 / White Zombie』のタイトルに大きくヒントを与えた。後にウェッブ氏は著作権を巡ってハルベリン兄弟に対し訴訟を起こしている。

本作の重要人物であるゾンビマスター・ルジャンドル役には『魔人ドラキュラ』で一躍有名になったベラ・ルゴシを起用し、無声映画時代に取り残されつつあった多くの俳優陣をキャスト陣に迎えた。(トーキーが始まって以降、観客たちはサイレント作品で活躍していた役者を「過去の人」と捉える風潮があり、それは彼らのキャリアに大きく影響を及ぼした。)

低予算作品にも関わらず、『魔人ドラキュラ』からリサイクルしたセットが華やかな世界観を演出し、『フランケンシュタイン』での特殊メイクを手掛けたジャック・ピアースが生み出した「最初のゾンビルック」が興行的な成功に寄与した。

この『恐怖城』に登場するゾンビはあくまでも仮死状態にされた人間のことを指し、ルジャンドルに操られた奴隷同然の労働力に過ぎなかった。

https://www.syfy.com/sites/syfy/files/2018/01/white_zombie_hero_01.jpg

ブードゥー教との因果

ゾンビ誕生において欠かせない存在がブードゥー教だ。西アフリカ地域や、米国のニューオリンズ。ハイチなど世界で数千万人の信者を有する民間信仰である。 (宗教だと表現されることもあるが、特定の教団組織や教義を持たず、コミュニティで機能している「教え」に近い。そのため民間信仰と記す)

「ブードゥー」は英語の呼び名で、西アフリカで用いられるフォン語で精霊を意味する「ヴォドゥン/ Vodun」に由来する。オックスフォード英語辞典によると、「ゾンビ」の語源は、コンゴではンザンビ(Nzambi)と称される神がおり、後述する奴隷貿易の過程で「ンザンビ→ゾンビ」と変化を遂げたとされている。

1819年にブラジルの詩人ロバート・サウエイが「ゾンビ」と使用したことが記録されており、単語としての歴史も古い。

ブードゥーにおけるボコ(司祭の一種)の仕事で、死体が腐敗する前に墓から掘り起こし、繰り返し繰り返し死者の名前を辛抱強く呼掛けることで屍が起き上がるとされる。むにゃむにゃと目が覚めた死体に「おはよう」と言う間も与えず両手を縛り、奴隷として永久にこき使うことを目的として行うネクロマンシー(魔術)である。この言い伝えがゾンビの起源である

魂の二元論を信念としているブードゥーでは、体から分離した魂を装飾した壺に閉じ込め売るケースもあった。(縁起が良いものとして)

フランソワ・マッカンダル

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/ec/Fran%C3%A7ois_Mackandal.jpg/220px-Fran%C3%A7ois_Mackandal.jpg

次のページ : ブードゥー教がゾンビ映画に反映されるまで

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Seiya Asano

映画を作る、喋る、書くのが好きです。 自主制作ラジオでも毎週映画について語って...

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