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【あの監督が最初に撮った映画は?】巨匠たちが最初に撮った映画7本

巨匠になるための第一歩は、超低予算映画?巨匠たちの監督デビュー作を7本紹介!

巨額の予算をかけた映画を生み出し、世界中で公開され、様々な賞に輝く。そんな巨匠と呼ばれる監督たちは、全世界の映画ファンのあこがれの的だろう。

しかし多くの場合、そういった巨匠たちも、最初のうちはとても予算の低い映画を作ることがほとんどだ。

今回は、様々な巨匠たちが最初に作った長編映画を、7本紹介。中には、後の作風からは想像がつかない意外な一本も!?

1. スピルバーグが初めて監督した長編映画は、『激突!』でも『続・激突!/カージャック』でもない、SF大作だった!?

『Firelight』(1964)

BEVERLY HILLS, CA - FEBRUARY 04: Steven Spielberg arrives at the 85th Academy Awards - Nominees Luncheon at The Beverly Hilton Hotel on February 4, 2013 in Beverly Hills, California. (Photo by Steve Granitz/WireImage)

『ジョーズ』(1975)で一躍世界にその名を知らしめ、『未知との遭遇』(1977)や『E.T.』(1982)でSF映画の歴史を変え、「インディ・ジョーンズ」と「ジュラシック・パーク」という2つの映画シリーズを生み出す一方、『シンドラーのリスト』(1993)と『プライベート・ライアン』(1998)で2度もアカデミー賞に輝き、『レディ・プレイヤー1』(2018)でガンダムとメカゴジラを対決させた、スティーヴン・スピルバーグ。もはや映画ファンで彼の名を知らぬ者はいないだろう。

そんなスピルバーグの「監督デビュー作」といわれるものとして挙げられるのが、『激突!』(1971)だ。しかしこの映画は、もともとは単発モノのテレビドラマとして制作され、それがアメリカ国外では映画として上映されたので、「映画監督」としてのデビュー作であるかは議論の余地がある。そのため、最初から劇場上映を意図して制作された『続・激突!/カージャック』(1974)を「監督デビュー作」とする資料も多い(ちなみに『続・激突!/カージャック』は『激突!』の続編ではない、全く無関係の内容。日本の配給会社が勝手につけた邦題)。

しかし、実は『激突!』より遡ること7年前、当時17歳のスピルバーグは、一本の長編映画を生み出していたのだ……500ドルの予算で。

Portrait of American director and producer Steven Spielberg in Piazza della Repubblica. Rome, 1970s (Photo by Mondadori via Getty Images)

1970年のスピルバーグ、ローマにて

それが、『Firelight』(1964)である。8mmフィルムで撮影されたこの作品は、「空飛ぶ円盤が街を攻撃する」というどこかで聞いたことがあるような内容で、上映時間が135分というなかなかの大作。スピルバーグが監督から脚本・撮影・編集・音楽まで手掛けているが、両親がプロデューサーとしてクレジットされている。どうやら両親が制作費を出したらしい。

この映画は1964年3月24日にアリゾナ州フェニックスの映画館で一度だけ上映される。500ドルの予算に対し、その日一度だけの上映で501ドルを売り上げる。どうやら観客の誰かが2ドル払ったらしい。1ドルだけではあるが、これがスピルバーグにとって初めての商業的な成功だった。

残念ながら我々は、この映画の全編を鑑賞することができない。スピルバーグはその後ロサンゼルスまで出かけ、とある映画会社のプロデューサーに見てもらうために『Firelight』のフィルムを差し出したのだが、まもなくその会社が倒産。件のプロデューサーはフィルムを失くしてしまった。そのため、現在は全体の3%だけしか残っていないという。

2. 巨匠コッポラの初長編は、エロ要素強めなおバカ映画!?

『グラマー西部を荒らす』(1962)

HOLLYWOOD, CA - JANUARY 29: Director Francis Ford Coppola arrives at the 63rd Annual DGA Awards at the Grand Ballroom at Hollywood & Highland Center on January 29, 2011 in Hollywood, California. (Photo by Jon Kopaloff/FilmMagic)

「ゴッドファーザー」三部作でイタリア移民のマフィア一家の顛末を壮大に描き、ベトナム戦争の狂気を幻想的に綴った超大作『地獄の黙示録』(1979)でカンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた、巨匠フランシス・フォード・コッポラ。最近は娘のソフィアや孫ジアも監督として活躍している。

そんなコッポラも、最初から巨匠だったわけではない。カリフォルニア大学ロサンゼルス校で映画を学んだ彼は、監督でプロデューサーのロジャー・コーマンの下に弟子入り。コーマンはセットを使いまわしたり、映画業界を目指す若者を起用したりといった裏技で、短期間・超低予算での映画作りを実現させており、「B級映画の帝王」として知られる人物だ。

コーマンのアシスタントとなったコッポラの最初の仕事は、ソ連のSF映画『大宇宙基地』(1959)をアメリカの観客向けにするため、台詞を吹き替えさせたり再編集し、『燃える惑星 大宇宙基地』(1962)に改編することだった。

他にも、いくつかのヨーロッパ映画を同様のやり方で再編集させられたコッポラだったが、実はほぼ同時期、コーマンとは無関係なところで一本の映画を監督していたのだ!

それが、『グラマー西部を荒らす』(1962)だ。

Francis Ford Coppola (Photo by Tom Wargacki/WireImage)

『ゴッドファーザー』の頃のコッポラ

わずか65分の尺しかないこの映画の内容は、実にバカバカしい。お色気ムードが広がる世の中で、それに対してけしからんと考えている二人の男、ジボウスキーとヒルが、とあるストリップ劇場で知り合う。

ヒルは自らの友人ジェニーについて語る。ジェニーは西部のいたるところ、行く先々で周囲にグラマラスな女性たちが全裸で現れる幻覚に悩まされているという。

一方のジボウスキーは、社会にはびこるヌーディズムを撲滅するためにヌードモデルをしている隣人を追い出そうと試みているという。そんな彼らは、今いるストリップ劇場で停電を起こして混乱させようともくろむのだが……。

アダルトビデオが簡単に見れる今見るとちょっと拍子抜けするほどお色気は控えめだし、内容もバカバカしいことこの上ない。何がスゴイって、こんな映画ではあるが、サントラを『地獄の黙示録』でもお馴染みのコッポラのお父さんカーマイン・コッポラが作曲していること。自分の息子が監督したエロ映画の音楽を作る心境とは、一体どんなものなのだろう。

コッポラにとっても黒歴史なのか、いまだにDVD化していないため、今となってはかなりレアな一本だ。しかし、この10年後に世紀の名作『ゴッドファーザー』(1972)を生み出すのだから、わからないものだ。

3. リドリー・スコットが『エイリアン』より前に監督したのは、19世紀フランスを舞台にした異色ドラマ

『デュエリスト/決闘者』(1977)

BEVERLY HILLS, CA - DECEMBER 18: Director Ridley Scott arrives at the premiere of Sony Pictures Entertainment's "All The Money In The World" at the Samuel Goldwyn Theater on December 18, 2017 in Beverly Hills, California. (Photo by Amanda Edwards/WireImage)

80歳を超えた今もなお次から次へとヒット作を生み出すリドリー・スコット監督。

SFスリラーの金字塔『エイリアン』(1979)でその名を知られるようになり、いくつものバージョンがあることで知られる『ブレードランナー』(1982)やアカデミー賞に輝いた歴史大作『グラディエーター』(2000)、極限までリアリティを追求した戦争映画『ブラックホーク・ダウン』(2001)、火星を舞台にしたドラマ『オデッセイ』(2015)など、巨額の予算を投じて作られるヒット作で知られる。

しかし、彼は映画監督としては相当な遅咲きでもある。イギリスの美大でグラフィックデザインを学び、BBCに入社。美術デザイナーを経てディレクターになる。

その後は独立して起業し、CFディレクターに。60年代後半から70年代にかけて手掛けたコマーシャルの数は、1000本をはるかに超えるという。

そして1977年、40歳になってから、ようやく映画監督としてデビューを果たす。それが、『デュエリスト/決闘者』だ。

この映画は19世紀のフランスを舞台にした映画ではあるが、後の大作映画とはかなり異なる趣の映画だ。士官であるデュベール中尉が謹慎処分となった騎兵隊のフェロー中尉に伝令を届けるために面会すると、突然決闘を申し込まれる。

デュベールはフェローに勝つが、その後も事あるごとにフェローはデュベールに決闘を申し込み続ける。こうして何度も決闘を重ねる二人の間に、やがて奇妙な関係性が生まれていくのだ。

さしたる理由もないのに決闘を繰り返す二人、というかなりユニークな題材は、一見するととっつきにくい印象があるだろう。しかし、この「対決する二人」というシンプルなモチーフは映画において普遍的なものだ。よく考えれば、『エイリアン』のリプリーとエイリアン、『ブレードランナー』のデッカードとバッティといった後の映画でのキャラクターも、対立関係にあるのだ。

その美しい映像表現と趣深いストーリーテリングは高く評価され、「デュエリスト」はカンヌ国際映画祭で新人監督賞を受賞した。

しかし、この2年後に『エイリアン』を撮るなど、誰が想像したのだろうか。

デュエリスト(1977)

デュエリスト(1977)

1977年/イギリス/0分

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Szatt

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