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沖縄独自の風習と死生観を描く「洗骨」。ガレッジセール・ゴリの監督デビュー作

洗骨

2019年2月9日より全国にて公開

2018年/日本/111分

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あらすじ

今はほとんど見なくなったが、沖縄諸島の西に位置する粟国島などには洗骨という風習が残っているとされる。死者は粟国島の西側に位置する“あの世”に風葬され、肉がなくなり、骨だけになったころに、縁深き者たちの手により骨をきれいに洗ってもらうことで、晴れて“この世”と別れを告げる。沖縄の離島、粟国島・粟国村の新城家では、長男の剛(筒井道隆)が母・恵美子(筒井真理子)の“洗骨”のために、4 年ぶりに故郷に戻ってくる。実家は剛の父・信綱(奥田瑛二)がひとりで住んでおり、生活は荒れていた。やめたはずの酒も、恵美子の死をきっかけに隠れて飲んでいた。そこへ、名古屋で美容師をしている長女・優子(水崎綾女)も帰って来るが、その様子に家族一同驚きを隠せない。“洗骨”の儀式までのあと数日で、彼らは家族の絆を取り戻せるだろうか……。

出典元:https://eiga-board.com/movies/90093

病死した母とそれを受け入れられず酒に逃げるダメな父、そんな父を軽蔑する東京で働く息子、突如として妊娠した状態で現れる娘。こうやって書くと今までいろんなホームドラマで見たような要素をパッチワークしたかのようなベタさだが、そこに沖縄という舞台とゴリならではのコメディ演出、そして初めて映画で取り上げられた独自の風習”洗骨”が合わさり、とても優れた作品になっている。

ご存知の通りゴリは沖縄出身の監督。彼の地元愛にあふれた丁寧な描写が何よりも本作の見どころ。

美しい海、のんびりした人々、沖縄の郷土料理ジューシーを始め、様々な沖縄要素を物語に絡め、心の交流を丁寧に切り取っていく。

沖縄らしく明るい画面で、感動的な場面にもウェットになりすぎないようちょっとしたギャグを入れてくる見事なバランス感覚がある。

また水崎演じる優子を妊娠させた人物が中盤から出てくるのだが、彼も吉本芸人であるゴリならではのキャスティングがされており、登場シーンだけで爆笑間違いなし。

この人物はコメディリリーフとしても終始大いに笑わせてくれるのだが、劇中で唯一沖縄と関係ない部外者として描かれており、彼を通して独特の風習を見ることで相対的な視点を入れているのも巧みな点。

そして本作で白眉といえるのはかつてはトレンディ俳優として鳴らした奥田英二の体を張った名演だ。

無精ひげに薄くなった白髪、ブリーフ姿のだらしない体も晒し、飲んだくれの優柔不断な初老の父親を説得力満載で演じている。

何一つ決断できず現実から逃げ続けている信綱。

そんな彼に映画終盤で最大の試練が訪れる。それを乗り越える信綱の姿には感動を禁じ得ない。中々見たことのない描写だが、これをラストに持ってくるとはかなり攻めた映画でもあるなと感じた、

どんなシーンかはぜひ実際にご覧いただきたいが、洗骨という死者であり祖先を悼む風習と新たな生命の始まりを対比して描くとても映画的な場面になっている。


人は死んでもその存在は残された人々の心に残り、魂は次世代につながっていく。狭い地域の一家族を描きながら全人類に響く普遍的な生命賛歌の物語。


「洗骨」は2月9日からシネマート新宿やT・ジョイPRINCE品川で上映中。

単なる話題作りの芸人監督作ではない確かな腕を感じさせる秀作だ。

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whitestonetaichi

映画大好き会社員。副業でいくつか媒体に記事書いてます。 2018年ベストはアンダーザ...

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