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『プロミシング・ヤング・ウーマン』ネタバレレビュー:憤怒と悲怒と人生と。

復讐は美味なのか?

 怒りに駆られた人間は醜い。憎しみを糧に生きる人生ほど虚しいものはない。少なくとも筆者はそう思う。
 本作の主人公、キャシー(キャリー・マリガン)は怒りを原動力に生きている。昼は気怠くカフェで適当に働き、夜な夜なパブやクラブに繰り出し、”泥酔したフリ”をして”お持ち帰り”を企んだ男にお仕置きをしている。この怒りは彼女の人生をぶち壊しにしている。お仕置き以外に生きる目的がなく、色恋沙汰とは無縁のまま三十路を迎えようとするキャシー。そんな彼女を両親は心配し、誕生日にスーツケースをプレゼント。それとなく"早く結婚して家を出ろ"的なメッセージを送るも意に介さない。そもそも彼女は自分の誕生日さえ忘れるほど、お仕置きに夢中なのだ。
 もはや自暴自棄とも言える彼女の怒りの根源は、幼なじみのニーナがレイプされ、うつ病を発症、自殺してしまったことにある。当時、キャシーもニーナも優秀な医学生であり、将来が期待された女性(Promising Young Woman)だった。しかしニーナの死をきっかけにキャシーは退学。医学の道を諦めたのだ。
 観客の多くは、激しい怒りに突き動かされお仕置する彼女の姿に共感し、溜飲を下げるかもしれない。キャシー自身も"お仕置き記録帳”をつけて満足そうにしている。しかし、筆者はキャシーの人生がこのままで良いとはとても思えなかった。キャシーの部屋はピンクで彩られているが、そんなファンシーな部屋とは裏腹に疲れ切った表情に浮かぶほうれい線や、虚な表情を覆い隠すようなキツいアイライナー。胸にぽっかりと穴が開いたような生き様はとてもみていられない。そんな筆者の気持ちに答えるかのように、物語は医学生時代の同級生、ライアン(ボー・バーナム)の登場によって、観客を”虚しさ”のドツボへ誘っていく。

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氏家 譲寿(ナマニク)

文筆家。映画評論家。日本未公開映画墓掘人。ホラー映画評論ZINE「Filthy」発行人。ホ...

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shym-o

2021/10/24 09:54

見終わって

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「空白」

Koutarou Kurimoto

2021/10/04 19:19

試写会行きました!

5

「神在月のこども」

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