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新・あつい壁

あらすじ

駆け出しのフリー・ルポライター卓也は、取材で知り合ったホームレスの男・友田から、55年前に起きたある殺人事件の話を聞かされた。「俺は、その犯人のせいにして盗みをはたらいてな。ところが後で、その犯人が死刑になったって聞いた。無実かもしれねえという話も…。」 卓也は、これを取材すれば、もしかするといい記事が書けるかもしれないと考え、知り合いの編集長・福島に相談す...

駆け出しのフリー・ルポライター卓也は、取材で知り合ったホームレスの男・友田から、55年前に起きたある殺人事件の話を聞かされた。「俺は、その犯人のせいにして盗みをはたらいてな。ところが後で、その犯人が死刑になったって聞いた。無実かもしれねえという話も…。」 卓也は、これを取材すれば、もしかするといい記事が書けるかもしれないと考え、知り合いの編集長・福島に相談する。しかし、福島は取り合ってもくれない。あきらめきれない卓也は、友田の話を手がかりにしながら、事件のことを少しずつ調べはじめる。それは、熊本県で起きたハンセン病患者が犯人とされた事件だった。卓也は熊本行きを決意する。 熊本県にある国立療養所恵楓園の自治会を訪れた卓也は、そこで、当時のことにくわしい入所者、増井と佐伯らに出会う。そして、その入所者たちから、当時の事件や裁判についての詳細な話を聞かされる。それは、聞けば聞くほどに、犯人とされ死刑となった男・勇吉の無実を思わないではいられない話ばかりだった。さらに卓也は、勇吉の最後の教誨師として関わった牧師・坂上から、当時の裁判に直接関わった書記官の証言として、「みんなで勇吉さんを、ボロ雑巾のように死に追いやった」という話を聞かされる。そこにあるあまりにも深い差別の闇に、卓也は言葉を失う。卓也はさらに、増井と佐伯から、ごく最近、熊本県内でおきた宿泊拒否事件と、そのいきさつの中で恵楓園入所者に送りつけられてきた数百を超える誹謗中傷の手紙やメール、電話のこと、その内容のひどさを知らされる。50年前の事件の中にあった偏見・差別は、決して過去のことではなかったのだ。[記事になる]という興味本位な気持ちで取材を思い立った卓也の中に、少しずつ変化が生まれてきていた。取材を終えて東京に帰った卓也は、再度、福島に原稿を記事にしてくれるよう頼みに行く。そこで卓也は、さらに新しい事実を知ることになる……。

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